
「ジャパン・ジャグリング・スクール(JJS)」が監修する、ジャグリング練習メソッドです。
ぜひご自身のトレーニングにお役立てください。
ジャグリング練習メソッド6個
1. 上手くいったところで終わる
JJSでは、ひとつの技が成功したあと、
- 道具を置いて休憩をして、自分をほめる
- 成功した技は翌日まで練習しない
ことを推奨しています。
成功すると、嬉しくて同じ技をもう一度チャレンジしたくなるのが人間の性ですが、大抵の場合、成功直後の2回目のトライは失敗することが多いです。
「もう1回やりたい!」という想いを翌日に残しておくくらいがちょうど良いのです。
良いイメージを保ったまま、次の技や休憩に移ることで、まるで髪の毛に当てたパーマが定着するように、成功パターンを脳内に記憶させることができます。
2. 1つの技にこだわらない
世界最高のジャグラー、アンソニー・ガット(Anthony Gatto, 米, 1973-)の練習の様子を収めた貴重なビデオです。
わずか1時間38分のセッションで、計90近くもの技を試み、その9割を成功させ、それほど疲れた様子も無く、全ての練習メニューを終えています。
彼の練習メソッドは「特別な場合を除き、同じ技を2~3分以上は練習しない」というものです。
3. 休憩をする
2021年にアメリカの国立衛生研究所(NINDS)の研究チームは、ピアノのような新しいスキルを習得する練習では、頻繁な休憩を行う方が効果的な上達ができるという研究結果を報告しました。
またこの研究では、スキルの上達は練習中には起こらず、休憩中にのみ発生することが示されています。
4. 生産性のマジックナンバーは「85%」
運動でも何でもそうだが、コツは85%を目標とすることだ。完璧を目指すと情けない気持ちになったり、燃え尽きたり、逆にうまくいかなくなったりすることが多い。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)
スポーツ科学の研究において、全速力で走ろうとすると実際にはタイムが遅くなったり、重いウエイトを限界まで持ち上げても、その少し手前でやめたときより筋肉のつきがよくなるわけではないと指摘するデータがあります。
前述した世界最高のジャグラー、アンソニー・ガットも練習中にジョークを言ったり、周りの人々と全く関係のない話題について話していたことが知られています。
つまり「最大の努力=最大の結果」ではないということ。
余力を残しつつ、「エンジョイ」できるくらいの頑張りの方がパフォーマンスが上がる、ということです。
5. 「できなかった部分」ではなく「できた部分」を見る
人の脳は、自分にとってネガティブなことが起こりそうなときのセンサリングは発達している。生きていくうえでネガティブな情報は危険を避けるための重要な情報だからだ。
つまり、人は「できないところばかりに目が向いてしまいやすい」性質を持っている。
青砥 瑞人『BRAIN DRIVEN』ディスカヴァー・トゥエンティワン
脳神経科学の分野で指摘されているポイントですが、ジャグリングでも「できなかった部分」ばかり見てしまうと練習が楽しくなくなります。
たとえテストで20点しか取れなかったとしても、「80点失った部分」ではなく、前向きに考えれば「20点できている部分」から得られる学びがあります。
6. 「失敗の練習」ではなく「成功の練習」
「失敗は成功の元」とは言っても、失敗ばかりしていては、ただ悪い癖が付いてしまうのみです。
最小限の失敗から、どれだけ多くを学び、最短距離で成功に導くかが重要です。
参考文献
- 岡本 浩一(2002)『上達の法則 効率のよい努力を科学する』PHP研究所
- Juggling Information Service – 『Anthony Gatto and Practicing』
- National Institutes of Health – 『Study shows how taking short breaks may help our brains learn new skills』
- The Wall Street Journal – 『Try Hard, but Not That Hard. 85% Is the Magic Number for Productivity.』
本日のWSJに面白い記事が出ています。生産性のマジックナンバーは「85%」で、全力を目指すとむしろパフォーマンスは低下する。某高校の野球部じゃないけど「エンジョイ」できるくらいの頑張りの方がパフォーマンスが上がる、ということですかね。https://t.co/e2ZgzycHNS
— 山口周 (@shu_yamaguchi) September 15, 2023